子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

子どものおねだり。買う・買わないのボーダーラインは?

掲載日: 2016年3月23日更新日: 2016年3月23日近藤 浩己

子どもを買い物に連れていったとき、やたらとおもちゃやお菓子を欲しがって、困ることはありませんか?中には、「それ、本当に欲しいの?」と思うようなものもあって、「ただおねだりがしたいだけなのかな…」と考えてしまいます。そんな子どものおねだりについて、どんなものなら買ってもいいのか、どう対応すればいいのか、専門家に聞きました。

おねだりは自我が芽生えた証

ママを困らせる子どもの「おねだり」。しかし、おねだりは子どもの成長の証でもあるといいます。

おねだりをするということは、子どもに自我が芽生えてきた証拠です。」

こう話すのは、谷町こどもセンター(大阪市)で所長を務める、臨床心理士の日下紀子さん。

自我の芽生えとは、親が与えたおもちゃで遊んでいた時期を過ぎ、「これが好き」「これは嫌い」という好みや、自分の意見を通したいという自己主張が生まれてきたということ。こうした心の成長が、おねだりにつながるのだそうです。

「駄々をこねるのも、『こうしたい!』という自分の気持ちを通そうとする心の表れ。こうした行動が見え始めたら、自我が芽生えてきたんだなと捉えてもらえばいいと思います。」


「ダメなものはダメ!」でOK

おねだりは心の成長の証。うれしいことではありますが、なんでもかんでもほしがるのも困りもの。買わないときは、どのように対応すれば納得するのでしょうか。

子どもには、買わない理由を伝えてから、はっきりと『買わないよ』と言えばいいと思います。」

欲しがるものがお菓子であれば「晩ごはんが食べられなくなるからダメ」、おもちゃであれば「似たようなものがあるからダメ」など、理由を正直に話せば良いそう。「今、お金がないから買えません」でもOKだと言います。

おねだりをすれば買ってくれるわけじゃない、ということを知るのはとても大切。なんでも思い通りになると思ってしまうと、実は子どもは不安を感じるのです。」

なんでも買い与えると子どもは不安になる

思い通りになると不安になるとは、どういうことなのでしょうか。

自分の欲求が何でも満たされてしまうと、気持ちに歯止めがきかなくなってくるのです。欲しいという気持ちも、誰かが止めないと抑えがきかなくなる気持ちの一つ。そうして、どんどん欲求がエスカレートしていくと、『僕の欲求はどこまでいくんだろう。どうなっちゃうんだろう』と不安になっていくのです。」

欲しいと言えば親がなんでも買ってくれるという状況では、子どもが我慢を覚えられなくなり、感情のコントロールができなくなる可能性もあるということ。

「幼い子どもの止まらない欲求は、親が止めてあげなくてはいけないもの。だから、おねだりに対して『ダメなものはダメ』ときっぱり言うことは、子どもが感情をコントロールできるようになるためにも必要な行為なんです。」

また、なんでも買ってくれるわけではないという制限があるからこそ、本当に欲しいものを自分で判別できるようにもなるそう。手当たり次第に「ほしい」と言うおねだりを防ぐのは「ダメなものはダメ!」という、親の毅然とした態度なのですね。


買う・買わないは親が決める

とはいえ、子どもがすごく欲しそうにしている物だと、「たまには買ってあげたほうがいいのかな…」という気持ちにもなります。どんなものなら買ってあげても良いのでしょうか。

「小さな子どもが欲しいと言うもので、どうしても買わないといけないほど必要性の高いものは、そもそもそんなにないと思います。ですから、買う・買わないの見極めは、それぞれの家庭で作ったルールや親の考えで決めていいと思いますよ。」

「絵本は買うけど、ゲームは買わない」「お菓子は1個だけ」「高いものは誕生日やクリスマスなどイベントのときだけ」など、まずは親がルールを決めて、それに従えば良いそう。

「そのうち大きくなって、おこづかいの管理などを自分でできるようになれば、どうしても欲しいものはおこづかいを貯めて買おうとか、金額の半分は貯めるから半分は出してとか、計画や交渉ができるようになってきます。そうなれば、本当に欲しいのかどうか聞いてあげてもいいですが、それ以前の年齢なら、あくまで親の考えで買う・買わないを決めればいいと思います。」


泣いても態度を変えないこと

それでは、子どものおねだりがエスカレートしないために、日頃から何かできることはあるのでしょうか。

親が途中で態度を変えないことです。泣き出して大変だから買うとか、態度がブレてはいけません。駄々をこねて泣きわめこうと『どんなに泣いても買えないんだ』と言えばいい。そうすることで、泣いても無理なものは無理なんだと覚えていきます。」

ママが一貫性を持つことはすごく大切と日下さん。でも、状況によっては、ルールを破る日があってもいいと話します。

「例えば、大嫌いな注射を泣かずにがんばったとか、そんな日は『いつもはお菓子は1つだけだけど、今日は2つ買っていいよ』と言ってもいいと思います。『注射をがんばったから』など、おねだりに応える理由をちゃんと話せば、ママの考えで、ルールに融通をきかせてもいいんです。」

じーじばーばが孫に甘い…そんな時は?

また、ついつい甘やかしてしまうおじいちゃんやおばあちゃんがおねだりに応えてしまったときも、無理に叱ることはないそう。

孫の喜ぶ顔を見たいというおじいちゃんたちの気持ちもありますし、それくらいは許してあげてもいいと思います。そして、そうしたおじいちゃんたちの気持ちに子どもと一緒に感謝して、『ありがとうって言おうね』など、お礼も伝えるようにしましょう。こうしてたまに融通をきかせるくらいの余裕をもったルール設定で、でも普段は一貫性を持って毅然と対応するのがポイントです。」

こうした特別なご褒美は、たまにだからこそ嬉しく感じるもの。わが子に泣かれるとついつい買ってあげたくなるのが親心ですが、常におねだりを受け入れ甘やかすのではなく、ママがしっかりルールを決めて対応することが、子どものためにも大切なのですね。

お話を聞いたのは…

  • 日下紀子さん

    臨床心理士。教育学博士。精神科の診療所で臨床心理士として活躍後、親子のカウンセリングを行う「谷町こどもセンター」(大阪市)へ入所。現在は所長として、12名の臨床心理士と共に、日々親子の成長をサポートしている。

  • 谷町こどもセンター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSS
  • follow us in feedly
  • チェック

ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事