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今や子どもの約3人に1人が発症!花粉症は遺伝する…!?

掲載日: 2016年3月30日更新日: 2017年5月16日堀内優子

最近、子どもの花粉症が増えていると言われていますが、実は花粉症発症には遺伝が関係しているそうです。しかも、出生順によっても差があるのだとか。花粉症と遺伝の関係や予防法について、小児アレルギーの専門医である末廣豊先生にお話を聞きました。

子どもの花粉症は3人に1人!

花粉症のシーズンは、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが出て、本当に辛いですよね。わが子にはこんな辛い思いはさせたくないもの。

そもそも花粉症の子どもはどのくらいいるのでしょうか。

ロート製薬が2015年に0〜16歳までの子ども2,618人の親に聞いたアンケート調査によると、「子どもが花粉症だと思う」と答えた親の割合は、33.4%。子どもの約3人に1人が花粉症ということになります。しかも2012年の25.7%から年々増加しています。また、発症する年も低年齢化。5歳までが45.5%、10歳までが82.3%という結果でした。

【参照】ロート製薬・2015年「子どもの花粉症」調査結果発表

花粉症の発症が低年齢化している原因とは

低年齢の子どもたちに花粉症が増えた原因について、末廣先生はこう分析します。

「主な理由の一つに、スギ花粉の増加があります。戦後、大量に植林されたスギが開花適齢期を迎え、花粉の飛散量が増えているんです。」

現在では、無花粉スギや少花粉スギなど、花粉が飛びにくい品種への植え替えを行っているそうですが、何しろ植林された量が多すぎるため、なかなか追いつかないのだとか。そのため、今後も花粉が飛散すると予想されます。

大人だけでなく、子どもかかるということが広く知られてきたことも一因として考えられます。子どもの症状は、大人と違ってくしゃみがあまり出ず、ぼーっとするなど、花粉症とは思えないケースがあります。これまでは、それが花粉症だとは思いもされなかったのですが、最近は、こうしたケースも花粉症の一種かもしれないとの認識が広がっています。」

以前は子どもの花粉症自体があまり知られていなかっただけで、別の症状だと思っていたら実は花粉症だった、ということですね。


ズバリ花粉症は遺伝する!

実は、花粉症になるかどうかは遺伝の影響が強いそうです。

花粉症の原因は、大きく分けて遺伝と環境です。両親が花粉症の場合、80%以上の確率で子どもに遺伝すると言われています。さらに、父親より母親の影響を強く受けることがわかっています。」

ロート製薬が2012年に行った同様のアンケート調査によると、両親がともに花粉症の場合、その子どもの43.2%が花粉症という結果に。一方、両親がともに花粉症でない子どもは、わずか11.6%にとどまっていました。

また、父親だけが花粉症の子どもの発症率23.4%に比べ、母親だけが花粉症の子どもは32.8%と高くなっていました。

長男長女が花粉症になりやすい!

さらに、兄弟姉妹の中でも、出生順によって花粉症の発症率に差があるそうです。

2012年の調査では、出生順と花粉症の発症率についても検証。第1子がもっとも高く39.7%で、第2子は29.2%、第3子は28.6%と順に低くなっていました。出生順によって花粉症の発症率が違うのは一体どうしてなのでしょうか。

花粉症を含めてアレルギー体質になるかどうかは、生後6カ月までに決まります。この間に清潔な環境で過ごし、感染症にさらされる機会が少ないまま成長すると、本来害のない花粉に過剰に反応してしまい、アレルギーを引き起こします。」

これは、“衛生仮説”といって、感染症の危険がない衛生的な環境ほどアレルギー疾患が増え、あまり衛生的でない環境ほどアレルギー疾患が少なくなる、というもの。

「第2子以降は、上の子どもが保育所や学校などから感染症を持ち込むので、アレルギー体質になりにくいと考えられます。」

そもそもアレルギー疾患は、先進国に多く、発展途上国では、それほど増えていないそうです。

日本は以前に比べて衛生的になったおかげで、肺炎など命に関わる感染症のリスクは減りましたが、その反対にアレルギーが増えてきた、ということなのです。」


アレルギー対策はアレルゲン(原因物質)を避けること

でも、清潔な環境のほうがアレルギー疾患になりやすいということは、掃除はあまりしすぎないほうがいいのでしょうか。

「いいえ、それは違います。アレルギー対策で大切なのは、アレルゲンを避けること。掃除をしないと、ダニやペット、ハウスダストなどの環境アレルゲンが増えるため、刺激を受けやすくなってしまいます。健康的で快適な生活のためにも掃除は大切です。」

「花粉症の発症を防ぐためには、乳幼児期からできるだけ花粉を避けることが大切です。出かける際は、花粉対策をしっかり行いましょう。」

子どもの花粉症の発症を予防する方法

遺伝的に花粉症になりやすかったとしても、なるべく花粉に触れない環境を作ることで、発症を予防することはできるそう。そこで、花粉症予防のために、末廣先生が実践している方法を教えてもらいました。

外出前に完全武装して、花粉をバリアする

  • 目の粘膜に花粉が付かないよう、潤いを保つために目薬をさす
  • 眼鏡をかける
  • マスクをつける

外出先や帰宅後は、花粉を洗い流す

  • 目を洗う
  • うがいをする
  • 鼻をかむ

親が花粉症の場合はもちろん、親が発症していなくても、子どもがたくさんの花粉に触れる機会が多ければ、花粉症を発症することはもちろんあります。春は、ポカポカ陽気で、一年の中でも心地良い季節ですが、外で遊ぶときは、花粉症対策をしっかりとしてくださいね。

そのほかの花粉症対策についてはこちら

お話を聞いたのは…

  • 末廣豊さん

    大阪府済生会中津病院小児科、免疫・アレルギーセンター部長。日本小児アレルギー学会評議員・理事。京都大学医学部卒業後、静岡県立中央病院などでの勤務を経て、同病院へ。1998年、部長に就任し、2000年からは大阪乳児院院長を兼任。元気の出るアレルギー教室に力を入れている。著書に『小児アレルギー診療ブラッシュアップ』(診断と治療社)などがある。

  • 小児アレルギー診療ブラッシュアップ
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ライター紹介

堀内優子

大阪生まれ、大阪育ちのフリーライター。大学卒業後、丸の内OLとして約2年間勤務。しかし「自分ならではのクリエイティブなことがしたい!」という思いから大阪に戻り、ライターの世界に入る。話題のお店に行くのが好きで、グルメ系のライティングが得意。海外ドラマ(特に英国ドラマ)にハマっている。

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