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スマートフォンやテレビ。子どもの視力、大丈夫?

掲載日: 2015年4月10日更新日: 2015年5月29日平野 友紀子
スマートフォンを見たり、テレビを見たりする時間が長くなると、心配なのが子どもの視力。そもそも、スマートフォンやテレビを見ることで、視力は落ちるものなのでしょうか? 子どもの視力について、国立成育医療研究センターの小児眼科医、仁科幸子先生に伺いました。

子どもの視力は発育途上、まず弱視を早くみつけよう

そもそも子どもの視力が落ちるというのはどういう状態なのでしょうか?

生まれたときの赤ちゃんの視力は0.02しかなく、三歳児健診の頃にようやく0.5が見えるようになります。聴覚と違い、大人と同じレベルの成熟した視力になるには9歳までかかります。一般的に『視力が落ちる』というと近視が進むということを考えがちですが、そもそも視力が育たない“弱視”でないかどうかを注意することが大切です。」

近視は、遠くを見たときに網膜の手前でピントが合ってしまい、遠くが見えにくい状態のこと。しかし近くを見るときにはピントが合っているため弱視にはなりません。

「一方、強い遠視や乱視、斜視があると網膜にピントを合わせることができないため、視神経から脳へ情報が伝わらず、視力が伸びません。これを弱視といい、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が出ない状態となります。弱視が三歳児健診で見つかる割合は、全体の2〜3%。矯正するためのメガネをかけるなどして、早く治療を開始しないと、大人になってから治療することはできません。」

弱視は、早期発見することで、視力を正常に伸ばすことができるそう。子どもの視線が外れる、片目を隠すと嫌がる、近づいて見ている、見えにくそうにしているなど、日頃から親が子どもの様子を観察することが重要です。子どもが話せるようであれば、何のことを言っているのかきちんと理解し、眼の病気をなるべく早く見つけてあげましょう。

近距離で長時間ものを見続けることがNG

それでは、スマートフォンやテレビを長時間見ることは、子どもの視力に影響があるのでしょうか?

「近視が進むということで言えば、スマートフォンに限らず、近距離で長時間ものを見続けることは良くないといわれています。実際に外でよく遊んでいた子どもと、そうでなかった子どもは、近視の進行に有意差があるというデータもあります。」

スマートフォンやテレビだけでなく、タブレットやパソコン、本も同じ。一定の距離で長時間見続けることが良くないそうですが、それはなぜでしょうか?

「目の機能には、視力だけではなく、両目で物を立体的に見る力や目を寄せる力などいろいろな機能があり、適切な視覚刺激を受け取ることで発達していきます。一定の距離で単一の刺激だけを見続けると、バランスのいい刺激が入ってこないため、視覚の発育に影響が出る可能性があります。とくに6歳までの外界からの刺激に対する感受性が高く、視力を伸ばす時期に、スマートフォン・パソコンばかりを長時間集中して見ることは良くありません。」

「また6歳以降になると、近視が進んでいく可能性が高くなります。近視の進行は眼の奥行き(眼軸)が長くなることが原因で、アジア人に多く、遺伝要因に左右されますが、近距離で長時間ものを見続けることは、近視が進む環境要因にもなる恐れがあるので、気をつけましょう。」

スマートフォンやテレビを見る際は、親が必ず管理

良くないとは分かっていても、車や飛行機での移動時や家事をしている間など、スマートフォンやテレビに頼ってしまうことも。その場合、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

スマートフォンなどを時間も決めずに子どもに渡しっぱなしにするのはやめましょう。テレビを見るときもつけっぱなしにするのではなく、親が見る時間を決めて子どものペースを作ってあげましょう。また、暗いところや姿勢の悪い状態でスマートフォンなどを見ていると、目に入ってくる情報の質が落ちるので、視力の発達や近視の進行に影響が出てきます。テレビを見る際の距離も近くなりすぎないように気をつけましょう。子どもがどういう風な見方をしていて、どういう使い方をしているかを、親が必ず管理してください。」

使用する時間だけでなく、部屋の明るさや見る姿勢なども影響があるんですね。1日に使う時間、見る時間を決める、親と一緒、もしくは親が見えるところで使用するなど、あらかじめ親子間でルールを決めておくと良さそうです。

体を動かす外遊びで近視を予防

近視を予防するためには、近距離で長時間ものを見続けることをやめることが一番」と仁科先生。

「アジア人に近視が多いのは、遺伝要因のほかに、家で宿題をしたり塾で勉強をしたりする時間が多いからともいわれています。外遊びで体を動かすことは、いろいろな刺激を取り入れ視覚の発達を促すことができるので近視予防にもオススメです。」

子どもが小さいうちは、つい室内にこもりがちになってしまうこともあると思います。公園などに出かけて、外遊びを積極的に取り入れたいですね。

日々、発達を続けている子どもの視力を守るために、ルールを作り、適切な使用を心掛けることが重要。子どもにルールを守らせるためには、大人も使い方を見直さなければなりません。まずは家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

お話を聞いたのは…

  • 仁科幸子さん

    医学博士、眼科専門医。1989年慶應義塾大学医学部卒業。2002年より国立成育医療研究センター眼科に勤務。専門分野は、斜視・弱視、小児眼科。NHK Eテレ「すくすく子育て」の専門家としても活躍中。

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ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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