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赤ちゃんと美術館へ! 子連れでアートを楽しむコツは?

掲載日: 2015年1月30日更新日: 2015年5月29日矢口 あやは
博物館といえば、動物や恐竜などの展示が充実して、ちびっこもウェルカムな印象。でも、美術館はちょっと“子ども禁制”のようなイメージってありません? 我が子と楽しく美術館デビューをするためのコツを美術館の達人に聞きました!

0歳~3歳の赤ちゃん連れでも楽しめる!美術館の選び方

ベビーカー貸し出し、授乳室・おむつ交換台の有無をチェック

シーンとした静かな空間、美しいアート。まさに大人が楽しむ場所という印象の強い美術館。できれば我が子と一緒に豊かなひとときを味わってみたいけれど、子どもを連れてのアート鑑賞ってやっぱりご迷惑でしょうか?

「いえいえ、現在はベビーカーの貸出や、授乳室やおむつ交換台を充実させて、子ども連れのママを歓迎する美術館も増えています。再入場サービスをしている美術館もあるのでトイレの心配もありません。もちろん、周囲の人への配慮は必要ですが、基本的には美術館もお子さんウェルカムなんですよ

とは、東京都現代美術館で常設展示ガイドをつとめ、大人や子どものツアーガイドとしても活躍するアートナビゲーターの東孝彦さん。騒がない・走らないという基本的な約束事を守ったり、赤ちゃんがぐずついた際は臨機応変な対応が必要ですが、基本的には親子でアートを楽しんでほしいという美術館が増えているそうです。

実は、ご自身も3歳と6歳になる二児のパパで、かつてはベビーカーを押して美術館を巡ったそう。そんな東さんに、0~3歳児の美術館デビューのコツを聞いてみました。

子連れでの美術館は、会期初めや、平日の午前中が狙い目

「まず、お子さん連れで美術館に行くときの鉄則は、混んでいる展示にいかないこと。そのほうが、ママにとっても子どもにとってもストレスが少ないはずです。美術館の場合、会期の最初の時期や、平日の午前中が比較的空いているので狙い目ですよ」

家族で行くなら、公園やカフェ併設の美術館を

また、家族の協力が得られるなら、近くに「公園」と「カフェ」がある美術館を選ぶのも手だという東さん。というのも、子どもがごきげんなうちはママと一緒に鑑賞して、ぐずりはじめたら出口にいるパパへ。パパと子どもが公園やカフェで遊んでいる間、ママは引き続き、アートを鑑賞できるというわけです。

子どもの年齢によって美術館の楽しみ方は変わる

0歳〜1歳児:子どもの反応を写真やメモで記録して

「0歳~1歳の赤ちゃんと一緒にアートを鑑賞するときは、ご両親はぜひ我が子がアートに触れたときに見せた変化をメモしたり、美術館にきた記念の写真を撮ったりして記録を残してあげてください。たとえば『フェルメールの絵の前なのに、照明の方に釘付け』とか(笑)。子どもが大きくなったときに、美術館の思い出が二度楽しめます」

2歳〜:親子で話しながら鑑賞することで見方が広がる

「2歳以降はおしゃべりができるお年頃。一緒にアートを見ると、子供の感性の豊かさに驚くはずです。子どもが作品について積極的にお話ししてきたら『すごいね!』と驚いたり、『ほら、このお絵かきを見てみて』って新しい視点を教えてあげたりして、作品について話し合いながら見て回ると面白いですよ

子どもの柔軟な発想や本質を掴んだ一言がきっかけとなって、親の作品の見方がガラッと変わることもザラだとか。そういう意味で、親が見ても一見不可解なコンテンポラリーアート(現代美術)などは親子で見ると楽しいみたいですよ。

こどもたちが美術館で学んでくれること

では、美術館に行くことで、子ども達はどんなことを学んだり、身につけられるのでしょうか?

考える力や、それを自分の言葉で伝える力が養われる

「幼い頃からアートに触れた子どもたちは、私が見る限り、語彙が豊富だったり、表現力が豊かだったりするように思います」と東さん。

「アートは、図鑑に載っている実在の動物や植物と違って、見ただけではよくわからないものも多いので、あれこれ考えて自分の言葉で話す機会が増えるからかもしれませんね。お子さんの感性を育むためにも、美術館に行ったらぜひ親子でいろんなことをお話してください」

また、夏休みになると、どこの美術館も子ども向けの企画やアートツアーを開催するのが恒例。子どもが美術館に慣れてきたら、それらのイベントに参加するのも手だとか。

モノ作りの発想や創造力を学べる

美術館で行われるイベントやワークショップに参加することでも、学べることが多いそう。

「とくに、アートツアーは子どもにとって、親以外の人と接するいい機会になります。私の息子は4歳の時から参加しているのですが、自分以外の大人からモノ作りの発想やイマジネーションなどを学んで帰ってくるたびに、少しずつ成長していることを実感します」

アートを鑑賞したり、ワークショップなどでさらに身近にアートと触れ合うことで、表現力や発想力、創造力など、さまざまな力が身に付くのですね。

専門家がおすすめ!東京都内の赤ちゃんや子どもと訪れたい美術館

ちなみに、今、赤ちゃんや子どもと訪れるなら、どの美術館がオススメでしょう?

■ベビーカーでも参加できる森美術館の「おやこでアート」

「デビューには、『森美術館』が行っている、0歳~6歳児と楽しむベビーカーツアー『おやこでアート』、小学生を対象とした『こどもツアー』やワークショップなどがぴったりなのですが、現在リニューアル中で、2015年4月24日までお休みしているのです。ぜひリニューアル後に訪れてみてください!」

■東京都庭園美術館のウェルカムルームは子どもにも人気

「『東京都庭園美術館』(港区)は、美術館や展覧会をよく知ってもらうための“ウェルカムルーム”がリニューアルによって併設されました。展示物のミニチュアに触ったり、塗り絵をしたり、絵本を読んだりして子どもが楽しめる場所でもあるので親子連れにも人気なんですよ」

■遊び感覚で子どもも楽しめる体験型展示「魔法の美術館」

2歳~3歳児には、映像や光を使った“体験型”の展示がおすすめ。例えば、光とデジタルを駆使して話題になった『魔法の美術館』のようなアートはいかがでしょうか。

・「我が子の場合は、現代アートを専門に扱う『東京都現代美術館』(江東区)
・ダイナミックな作品が魅力の『川崎市立岡本太郎美術館』(川崎市)
・メディアアートを中心とした『NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)』(新宿区)
などが大好きでした。色、光、形、音など、我が子の好みがわかってくると、親子で美術館に通うのも楽しくなってきますよ」

一緒に行けば、思いがけない体験が待っていそうな美術館。空いている日時を狙って、ぜひ親子でトライしてみて。
※写真提供:東孝彦さん

お話を聞いたのは…

  • 東孝彦さん

    2005年の横浜トリエンナーレをきっかけに、銀座の画廊巡りや国立西洋美術館をガイド、現代アートから近代美術まで、様々な展覧会のガイドをつとめ、現在は東京都現代美術館で常設展示ガイドとして活動中。2008年に美術検定一級を取得。アートナビゲーターとしてSNSなどを通じ、情報発信も行っている。

  • 東京都現代美術館の常設展「ギャラリートーク」
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ライター紹介

矢口 あやは

1983年生まれ。大阪府出身。フリーライターとして活動する傍ら、生き物の世界に魅せられて、狩猟免許を取得。沖縄から北海道まで、国内の自然と動物を訪ね歩いています。現在は、世界一周を目指して貯金の日々。

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